以前お世話になった「宿屋塾」のオープン講座に参加した。今回のテーマは「地域と一緒にブランドを高める宿づくり~『地域の強み』を『宿の強み』にする」。観光の現場に関わる者として、地域の価値をどう見立て、どう宿の魅力に転換するかは常に向き合うテーマでもあり、今回も多くの示唆を得る時間となった。
講師は株式会社ヒストリーデザイン代表の久保健治氏。かつて私が地域活性の仕事で担当していた県の事例や、実際に泊まった宿が紹介されたこともあり、内容が自分の経験と自然に重なっていった。
■「who → what → how」では観光地はつくれない
特に印象に残ったのは、対顧客向け施策の考え方だ。一般的な商品開発では「who(誰に)→ what(何を)→ how(どうやって)」の順で考える。しかし観光地の場合、この順番ではうまくいかないという。観光地は地域性に強く依存するため、まず“what(何を)”から考えなければ、ターゲット設定が空回りしてしまう。
これは、私自身が現場で感じていた違和感の正体でもあった。エリア特性の棚卸しをして魅力を再発見したはずなのに、気づくと「集客したいターゲット層」だけが一人歩きし、地域の魅力とうまく紐付かない。結果として、地域性とは関係のないスイーツやアクティビティが生まれてしまう
――そんな事例をいくつも見てきた。
「ターゲットに合わせて地域を作るのではなく、地域の価値に合うターゲットを見つける」
この視点が欠けると、観光地づくりは簡単に迷走してしまう。
■ブランドは“決めて終わり”ではない
もう一つ腹落ちしたのは、ブランド合意後のプロセスだ。ブランドを決めたらすぐにクリエイティブ制作→プロモーションへ進むのではなく、顧客から良い反応が得られるブランドへと進化させるために、マーケティング調査を必ず挟むべきという話。
行政や地域関係者とPRの方向性を議論する際、「なぜその表現なのか」「誰に届くのか」「地域の価値と整合しているのか」という点が曖昧なまま進んでしまうケースは少なくない。その“モヤモヤ”をすべて言語化していただけたようで、非常に学びが深かった。
■雪国観光圏に見る「価値の再定義」
久保氏が携わった「雪国観光圏」の話も伺えた。私自身、雪国観光圏ができたばかりの頃は、関わるステイクホルダーも多く、形になるのは難しいのでは…と遠目に眺めていた時期がある。だからこそ、数年前に久保氏が関わり、どのように変化していったのかを伺えたのは非常に興味深かった。
北陸新幹線への危機感から組織の動きが大きく変わり、雪国にとって“邪魔者”だった雪をネガティブからポジティブへ転換。「雪国」ではなく「雪国文化」と捉え直し、学芸員など専門家を巻き込むことで文化的エビデンスを高めていったという。
越後湯沢「HATAGO井仙」の井口社長がキーマンとなり、雪国文化のイデアを体験として形にした宿「龍言」では、HPに「雪国を感じる古民家ホテル」と大きく掲げられている。冬以外の季節も「冬の準備期間」として位置づけ、常に“冬”を軸に据えているという話も印象的だった。
地域の価値を再定義し、それを体験として磨き上げるプロセスは、まさに観光地づくりの本質だと感じた。
■今回の学びをどう活かすか
今回の講座で改めて強く感じたのは、地域の価値をどう見立て、どう磨き、どう届けるかという観光地づくりの根幹である。
●「what → who → how」という順番で考えること
●ブランドは“決めて終わり”ではなく、顧客の反応を踏まえて進化させること
●地域の価値を再定義し、体験として落とし込むこと
どれも、現場支援の中で必ず活かせる視点ばかりだ。上記以外にも、学びとなるコンテンツを数多くお話しいただけた。今回紹介された事例のいくつかは、ぜひ自分でも現地に足を運び、追加取材をしてみたい。体験として落とし込むことで、さらに深い知見にしていきたいと思う。
講師は株式会社ヒストリーデザイン代表の久保健治氏。かつて私が地域活性の仕事で担当していた県の事例や、実際に泊まった宿が紹介されたこともあり、内容が自分の経験と自然に重なっていった。
■「who → what → how」では観光地はつくれない
特に印象に残ったのは、対顧客向け施策の考え方だ。一般的な商品開発では「who(誰に)→ what(何を)→ how(どうやって)」の順で考える。しかし観光地の場合、この順番ではうまくいかないという。観光地は地域性に強く依存するため、まず“what(何を)”から考えなければ、ターゲット設定が空回りしてしまう。
これは、私自身が現場で感じていた違和感の正体でもあった。エリア特性の棚卸しをして魅力を再発見したはずなのに、気づくと「集客したいターゲット層」だけが一人歩きし、地域の魅力とうまく紐付かない。結果として、地域性とは関係のないスイーツやアクティビティが生まれてしまう
――そんな事例をいくつも見てきた。
「ターゲットに合わせて地域を作るのではなく、地域の価値に合うターゲットを見つける」
この視点が欠けると、観光地づくりは簡単に迷走してしまう。
■ブランドは“決めて終わり”ではない
もう一つ腹落ちしたのは、ブランド合意後のプロセスだ。ブランドを決めたらすぐにクリエイティブ制作→プロモーションへ進むのではなく、顧客から良い反応が得られるブランドへと進化させるために、マーケティング調査を必ず挟むべきという話。
行政や地域関係者とPRの方向性を議論する際、「なぜその表現なのか」「誰に届くのか」「地域の価値と整合しているのか」という点が曖昧なまま進んでしまうケースは少なくない。その“モヤモヤ”をすべて言語化していただけたようで、非常に学びが深かった。
■雪国観光圏に見る「価値の再定義」
久保氏が携わった「雪国観光圏」の話も伺えた。私自身、雪国観光圏ができたばかりの頃は、関わるステイクホルダーも多く、形になるのは難しいのでは…と遠目に眺めていた時期がある。だからこそ、数年前に久保氏が関わり、どのように変化していったのかを伺えたのは非常に興味深かった。
北陸新幹線への危機感から組織の動きが大きく変わり、雪国にとって“邪魔者”だった雪をネガティブからポジティブへ転換。「雪国」ではなく「雪国文化」と捉え直し、学芸員など専門家を巻き込むことで文化的エビデンスを高めていったという。
越後湯沢「HATAGO井仙」の井口社長がキーマンとなり、雪国文化のイデアを体験として形にした宿「龍言」では、HPに「雪国を感じる古民家ホテル」と大きく掲げられている。冬以外の季節も「冬の準備期間」として位置づけ、常に“冬”を軸に据えているという話も印象的だった。
地域の価値を再定義し、それを体験として磨き上げるプロセスは、まさに観光地づくりの本質だと感じた。
■今回の学びをどう活かすか
今回の講座で改めて強く感じたのは、地域の価値をどう見立て、どう磨き、どう届けるかという観光地づくりの根幹である。
●「what → who → how」という順番で考えること
●ブランドは“決めて終わり”ではなく、顧客の反応を踏まえて進化させること
●地域の価値を再定義し、体験として落とし込むこと
どれも、現場支援の中で必ず活かせる視点ばかりだ。上記以外にも、学びとなるコンテンツを数多くお話しいただけた。今回紹介された事例のいくつかは、ぜひ自分でも現地に足を運び、追加取材をしてみたい。体験として落とし込むことで、さらに深い知見にしていきたいと思う。